社員紹介「こたえる・ならべる・つなげる」プロフェッショナル

身の程知らずな挑戦で私は「天職」を見つけた。

この会社は、入って1年も経たない私の
「甚だ僭越」なチャレンジを快く受け入れてくれた。
新井
●当社に入社した経緯は?

アルバイトをしていたテーマパークの仕事は面白かったのですが、給料が安かったし、非正規雇用という身分をなんとか脱したくて、正社員になる道を探していた時、ハローワークで当社を紹介されました。不動産の知識はゼロだったのですが、募集職種が「営業アシスタント」だったので、とにかく若さにものを言わせた体力と、基本的なパソコン経験だけを頼りに自己アピールしました。直前に受けた別の会社の面接で、志望動機を聞かれた時、「椅子に座って仕事をしたかったから」と答えて、落とされてしまったので(笑)、そういう余計なことを言わないように気をつけて、なんとか採用に至りました。

●配属一年目で社内の「期間限定人員募集」に応募した動機は?

配属された調査第一部は、月に何百件という案件を処理する部門で、とにかく忙しいんです。私に与えられた仕事は、コピーをとったり、スキャンしたり、報告書を製本したりといった、いわゆるアシスタント業務です。でも仕事をしながら、例えば住所の中にある「字(あざ)」ってなんだろう、とか、誰も気にしていないようないろいろなことが妙に気になり始め、自分の中でそれが幾重にも積み重なっていくのを、次第に意識せずにいられなくなっていきました。

もしかして、私はこの仕事に向いてないのかもしれない──与えられた仕事は特に問題なくこなせていたのですが、そんなモヤモヤした気持ちが次第に大きくふくらみ始めた頃でした──社内で「期間限定人員募集」を行うというアナウンスがあったのです。

「今の私は正直不完全燃焼だ。このままでいいのか」という内なる声に後押しされて、私はこのチャンスに賭けてみたいと思いました。「まだ大した仕事もしてないのに」とか「もし応募した先でもうまくいかなかったら」などという、人並みの葛藤はもちろんありましたが、私はそんな時必ず「賭けてみる」方を選ぶ性格(たち)なので、実は募集の貼り紙を見た瞬間にもう心は決まっていました。そして私は、ノウハウを持ったメンバーが少なく、人材育成が急務となっていた「重要事項説明書」作成スタッフに応募したのでした。その仕事なら、自分が全ての責任を持ついっぱしの専門職になれるのではないかと思ったからです。

※期間限定人員募集:今後成長が期待される部門や職種で、社内からやる気のある人材を募集する制度。

調査の七つ道具
●重要事項説明書の作成とは具体的にどのような仕事ですか?

重要事項説明書は不動産売買契約の際に、売主が購入者に提示しなければいけない項目を網羅したもので、元々は買った後でトラブルが発生するのを防止する意味合いで作成されています。不動産の持つ価値だけでなく、リスクも明示してあり、不動産を多面的に把握するのにとても有効なため、当社では企業が不動産を購入・売却・活用したり、継続使用する際の検討資料となる「詳細調査」を、この重要事項説明書と同レベルの内容で構成し、ご提供しています。

チャンスを無駄にしないため、死に物狂いで頑張った。
そして、私の中に新たな才能が見つかった。
新井
●仕事を覚えるまで、どのような努力をされましたか?

異動先の営業開発部には、重要事項説明書に長年携わってきた大先輩がいて、何も知らない私を、手取り足取り指導してくださることになりました。
アシスタントがひとり抜けてしまうことで、元いた調査第一部には少なからずご迷惑を掛けてしまうわけですし、なんとかこの仕事で一本立ちするところまで頑張らないと、四方八方に顔向けできない結果になることは目に見えていました。だから私は必死でした。

せっかく頂いた新たなチャンスを決して無駄にしないため、師匠たる先輩から教えていただくことは全て貪欲に吸収しようと、日々懸命に努力を重ねました。
その甲斐があって、なんと1年という短期間で一人前のお墨付きをもらいました。自分で言うのはおこがましいのですが、はっきり言って1年は驚くべき早さです。自分が一生懸命努力をしたこともありますが、実は私にはこの仕事をするための「才能」が備わっていたということも、この早さの大きな要因です。

この仕事には豊富な知識が必要なことは言うまでもありませんが、案件によって、どんなリスクや法令抵触の可能性があるか、気がついたり、勘が働いたりする能力が大切です。例えば植栽の枝葉やブロック塀の基礎、上空架線などの越境については、物件をさらっと見ただけでは気づかず、見落としてしまうケースがよくありますが、私にはこうした「隠れたリスク」に気付く力があったということです。人を教える立場になってわかったことですが、この能力は教えてもなかなか身につくものではなく、人によって向き不向きがはっきりと現れます。ですから私は、自分にとって天職のようなこの仕事を与えてくれた会社と、ここまで育て上げてくれた先輩に、心から感謝しています。

●その後専門職として、どのように成長されましたか?

専門職として独り立ちしてから4年間くらいは、大型案件から遠方の案件まで、とにかく様々な案件を地道にコツコツこなして、経験を積みました。この間に宅建とファイナンシャルプランナー2級の資格も取りました。宅建は業務に直接つながる資格なので、絶対持っていたほうがいいと思って取りました。ただ宅建を取ってみたら、自分の頭の中が不動産のことばかりになってしまった気がして、もっと社会の仕組みを知らなければと思って、ファイナンシャルプランナーの勉強もした、ということです。

自身でプロデュースして建て替えた実家
●現状の課題と将来のビジョンについて教えてください。

もっとわかりやすい調査書式を作りたいと思っています。現在の書式は大企業の会社指定のフォーマットと、宅建から出ているフォーマットを使用していますが、普通の人が見たら難しすぎて理解できないと思います。

当社のオリジナルで、もっと明快・簡潔なフォーマットを作れば、お客様が理解しやすいだけでなく、調査をスピーディにできて、ミスの最小化にもつながる。さらにはわかりやすさを売りにした、新たな商品化もできるのではないかと思っています。

ゆくゆくはこれをクラウド上のウェブアプリケーションのような、提携調査員とメンバー全員が共有できるシステムにすれば、飛躍的な業務効率化につながるばかりでなく、管理もしやすくなるはずだと、思っています。