社員紹介「こたえる・ならべる・つなげる」プロフェッショナル

私が合格率5%の壁に挑戦し続けた理由

銀行員時代、不動産鑑定はいちばん難しくて、
とても重要な資産評価だと思った。
大隅
●なぜ不動産鑑定士を目指したのですか?

銀行で法人のお客様の事業計画策定支援などを行っているときに、不動産の評価が一番難しく、それだけにとても重要なものであることを感じていました。それで銀行を辞めて、しばらくしてから再び働こうと思った時に、非常に難関ではあるけれど、不動産鑑定士にチャレンジしてみようと思いました。実は私には元々、ゆくゆくは何某かのスペシャリストとして、社会に貢献したいという夢がありましたので‥‥‥。

さかのぼれば高校時代にオーストラリアへ1年間留学した時の話ですが、世界30カ国くらいの同学年の生徒と一緒に1ヶ月間バス旅行をしたことがありました。彼らと共に旅をして長い時間一緒に過ごすうちに、世界には同じ18歳でも、全く違うスケールで未来を考えている人たちが大勢いることを思い知らされました。私にとってこれはものすごいインパクトのある経験で、当時の悩みとか、周囲からのプレッシャーとか、それまで自分の抱えていたものが、実にちっぽけなものに思えてきたのです。私は彼らに「自分が望む未来に向かって、堂々と進んでいいんだ」と信じる勇気をもらったのです。

人生には様々なことが起こりますので、回り道を余儀なくされることもありました。でも、再び自分自身の未来を選択できるチャンスが巡ってきた時に、心して選んだのが不動産鑑定士だったのです。

大隅
●不動産鑑定士の資格試験にチャレンジした
日々のことを教えてください。

元々不動産に興味があった私にとって、鑑定業界で新しいビジネスモデルを確立していた当社はとても気になる存在でした。色々と調べているうちに提携調査員というのを募集していることを知り、将来鑑定士を目指す上で絶対に役に立つだろうと思って、これに応募しました。金融関係に在籍していたこともあって、とても歓迎していただき、すぐに調査の仕事を始めることになりました。

鑑定士を目指すかどうかは別にして、このお仕事は当時の私のように一度社会から離れた主婦にとって、とてもいい仕事だと思いました。知識・経験ははじめからなくても、仕事をしながら覚えられるし、時間に縛られずに働けて、その上コンスタントに依頼していただけます。不動産の調査をして価格を査定するという仕事が自分に向いているかを試すチャンスでもあり、鑑定士を目指すなら必ず必要となる知識と経験を徹底的に積むことができます。私には言うことなしのお仕事でした。

私は年間100件くらいの案件の調査をさせていただきながら、資格試験を受け続けましたが、毎回結果は不合格。でも最初からそう簡単には受かるはずないと思っているので、不得手な科目を克服すべく、辛抱強く努力を続けました。ところが3年が過ぎようとした時に、私は大きなアクシデントに見舞われてしまったのです。父が突然倒れたのです。母とふたりで介護をするために、全てを中断せざるを得なくなりました。調査員の仕事もいっさいできなくなりました。でも父のことは大好きでしたので、精一杯できるだけのことをしました。大変でしたけど、かけがえのない思い出をたくさん残すことができました。

父を見送った後、相続やら遺品整理を終わらせて、チャレンジを再開しました。

そして、挑戦を始めてから足掛け8年目のこと。それまでの努力がついに実って、私は合格できたのです。

コロナ禍の厳しい状況下だからこそ、
学ぶことはたくさんある。
大隅
●ようやく就いた不動産鑑定士の仕事について教えてください。

最初の年は約60件の評価を行いましたが、当社にはすごい件数の依頼があるので、戦力としてはまだまだです。案件の種類としては銀行の担保評価がコンスタントにある他に、今は企業の減損会計が多いです。減損会計は対象が企業の保有不動産ですから、工場や病院、それからホテルといった案件です。コロナ禍のご時世を考えれば、ご想像にたがわず、業種によってはかなり厳しい状況のお客様もいらっしゃいます。

私の立場としてはあくまで公正な評価をお伝えするのが仕事。もしかしたら、とても大変な時期に鑑定士になってしまったのかもしれませんが、こんな状況下だからこそ、学べることも少なくありません。自分が不動産鑑定士という仕事を通して、何ができるのか、何をすべきなのか、深く考えるチャンスを与えていただいているような気も致します。

また駆け出しのプロとして業務を始めるに当たっては、入社して1週間足らずで在宅勤務になってしまったのでとても不安でしたが、仕事はコンスタントにいただけましたし、リモートで丁寧な指導もしていただいたのですぐに慣れることができました。こんな時期だからこそ面倒見のいい当社へ入社して、本当によかったと実感しています。

今までバブル崩壊やリーマンショック、そしてあの大震災と、思えば私もいろんな時代を通り抜けてきたものです。

これまでのことを思い起こせば、どんなことがあっても経済は必ず「戻ってくる」のだと思います。

ノーベル賞経済学者でも、経済の明日をなかなか予測できないこの時代ですが、銀行時代に培った経験も活かしながら、少しでも企業のサステナビリティ実現や、相続、土壌汚染、老後の住み替えなど不動産で悩まれる個人のお客様のお手伝いをさせていただけるような、そんなお仕事ができるようになれればと思っています。

ミニチュアフード
●最後に不動産鑑定士の資格試験にチャレンジする方達にメッセージを。

資格試験に合格するには、一にも二にも集中することだと思います。私の場合は夫の仕事を手伝ったり、介護で中断してしまったりしましたが、なるべくなら仕事も最小限にして、短期決戦で臨むことをお勧めします。

でも、やはり一番大切なのは強い意思かもしれませんね。試験の合格率は年によって違いますが、一次試験が大体30~35%。論文試験が10~15%ですから、最後まで残るのは約5%です。決して挫けないで頑張り続ける覚悟が必要です。

でも、受かった暁には、それだけ希少な存在になれるということです。不動産鑑定評価は法人・個人を問わず、様々な場面でとても重要な役割を果たしています。活躍できるフィールドはたくさんありますので、年齢や環境にとらわれることなく自分の夢に向かって常にチャレンジできると思っています。